2012年7月30日月曜日

晴れてなくたって、いいじゃない




年間を通じて東京都内から伊豆大島に通っています。

島に着くと、都内にいるよりも濃厚に季節感を感じるのは、やっぱり海と山、自然に囲まれた場所だからでしょう。

取材や誰かを同行の場合は、晴れないかなぁ、と思いますが、
ひとりのときは、天気が悪いときの伊豆大島も結構、きらいじゃないんです。

低い気圧が停滞し、圧縮されたような密度の空気と湿度。
ほんの少しの天気の変化が、島にいると風の行方、波のうねり、雲の厚みなどで手に取るようにわかる。
もちろん、大きな被害を出すような悪天候を望んでいるわけではありません。
でも、自然の息づかいを感じさせる湿り気ある、モノトーンの水平線と地平線は、どこかドラマチックで心を泡立てます。

ひとりで車を運転して、周囲の木立が揺れ、遠くの海岸で波が砕けるのを見守る。
木々の緑は雨に濡れ、深く濃いグラデーションでどこまでも広がる。
三原山はホワイトアウトの中で、まったく見えないけれど、その存在だけは、普段よりもずしりと重い。




人工的で計算された空間にはない、リアルな地球の胎動。
生命力にあふれた、生きている伊豆大島を実感する一瞬です。

やがて、風が落着き、青空が見えはじめると世界は一変する。
太陽が顔を出し、島を照らしだすと、すべてはみずみずしくきらめきだす。

そう、天気が悪いときがあるからこそ、快晴の日の島の美しさを実感するというもの。


そんなふうに考えると、晴れてなくても伊豆大島、楽しいな、と思うのです。